2002/12/16    2019/5/1
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●「ワンマン行灯」
 う872号の装備品で、白い枠付きです。
 
 
 
●「貸し切りサボ」
 う362号の装備品で、運転席側のものです。
 同じく無理矢理外された為、う362号の写真の通り、「サボ受け」は壊れています。
 塗装が剥がれるなど状態は良くありません。
 裏側の文字は「一般」です(次の写真参照)
 
●「登録番号標記札」
 う872号のものです。一番上に車両番号札、真ん中に車掌名札、一番下に
 運転手名札を差し込んで使用していたようです。
 廃車の中には、こんな小部品さえも他車に提供したのか欠品になっているものも
 ありました。
 
●「車内社章」 
 う872号のものです。車内天井前端に両面テープで固定されており、
 おじさんが「これは記念になる」と言って真っ先に外してくれました。
 確かに今では大変貴重な品物になりました。
 
●「牽引フック標記」 
 う872号のものです。正面にある牽引用フックの横に貼ってあったアルミ製の標記です。
 
●「放送用マイク」 
 う872号のものですが、これが使用されている所は一度も見たことがありません。
 帽子に留めるクリップがあり、コードの先はジャック端子です。
 車内放送用なのか、それとも本部との無線に使用したのか。
 もしかして昔は運転士は全員これを着用して乗務したのでしょうか。
 
●「ウインカーレバー」 
 う363号のものです。これをおじさんが取り外すところは目撃していませんが、
 何故か私の手元にあります。
 途中で塗装が剥がれている特徴が、う363号運転席写真と一致すると分かります。
 
●「市内定期観光看板」 
 う362号のものです。おじさんが「これもあげる」と言って撮影中の私に持ってきたものです。
 恐らく出入り口側のサンシェードに引っかけて使用したのでしょう。
 裏側にはセロテープを剥がした跡が無数にあり、他の運用目的でも「手書きの紙」の
 掲出用として使用されていたと推測されます。
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                       ■装備品ページ付録■ 「局長コレクション」
 
ここからは、現在も私が所有・保管するバスの小さな部品たち(遺品)をご紹介します。
 
それは平成6年3月9日。
交通局から10台の廃車群が一斉に姿を消したあと、中学生だった私は、意を決して防府市の解体業者へと向かいました。
学校帰り、制服のまま、通学用自転車で国道262号線を全速力で走り、峠を越え、川を渡り、ふと遠くの解体屋に、彼らの「赤色の屋根」が見えたのでした。
 
解体屋のおじさんに声を掛け、緊張で震える手で写真を撮影。
既に夕暮れで光量が足りなかった為、その翌日も訪問。
私が帰るとき、私の熱意に打たれた(呆れた?)のか、おじさんは近くにあったバスの部品を幾つか取り外し、持たせてくれました。
あれから20年以上が経過していますが、防府で見た、あの日の夕焼けが忘れられません・・・。
 
そうした経緯で入手した、10点の品を見ていきましょう(多くはう362号・363号う872号車のものです。これ以外は解体済でした)。
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続いて、平成16年に入手した元う2303、2304号のもの3点です。
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●「正面行灯板『山口市営』」 
 
 う362号のものです。
 解体場で、おじさんが一生懸命外してくれました。
 最初は「こんな大きなもの、貰ってもいいのかな」と思い、私自身あまり「欲しい」とは
 言わなかったのですが、おじさん側から「あげる」と言われてしまいました。
 
 防府からの帰り道は、自転車の荷台に先ずこれをくくりつけ、上に学生カバンなどを
 置いて帰りました。
 後ろの新聞紙が、現在までこれを包んできました。
 
 左のコーラ缶は大きさ比較用です。
●「山口市章」
 
 う872号のものです。
 市営バス全車の前面に装備していました。
 市章は漢字の「山」と「口」をイメージしています。
 年代により、赤色と金属地の部分が逆転したりしているようです。
 また、車種により大きさも異なります。
 
 取り付け方法ですが、この市章の裏にネジが4つ溶接してあり、それをバス車体に
 予め開けられた穴に差し込み、車内でナット固定します。
 下の写真がその裏側ですが、当時から意味の分からないメモがあります。
 廃車発生品なのでしょうか。
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                装備品ページは以上です。
                 ありがとうございました。
 
       ※これらの品は、譲渡には応じられません。予めご了承下さい。
最後に、平成20年に入手することが出来たう869号の方向幕の話題です。
う869号は昭和51年に新製購入され、平成6年中ごろに廃車された大型の路線車です。
 
私が山口に居た頃は現役でしたが、転居した後の最初の夏休みに交通局を訪問した際には、
廃車体となって交通局の南西地区に留置されていました。
 
しかしこのとき廃車になった3台は従来の慣例を破り、方向幕がそのまま残される処置をされて
います。
今から考えれば、交通局の移転を控え、旧幕のストックは不要になったのかも知れません。
 
その後の平成7年に交通局(跡地)を訪問した時には既に廃車体は姿を消していましたが、
平成20年の夏、う869号は再び私の前に姿を現したのです。
あの方向幕と共に・・・。
 
山口市営が宮野に移転し、後に防長交通に編入された現在、この旧式の方向幕は
極めて希少なものとなりました。
 
当初は本車への敬意とオリジナリティ尊重の観点から方向幕もこのまま存置する考えでしたが、
全国的に廃バスの撤去が相次ぐ中で、積極的な保存が必要であるとの結論に至り、また、
う1043号の発見もあり、同車が良好に保存されていることから、同車に装着して保存するのが
望ましいかも知れない、との思いもありました(結果的には869号より先に撤去済)。
 
そこで平成20年11月に、現在の所有者様と交渉し、方向幕を譲渡していただくことになった
ものです。
 
実際に取り外し作業をしてみると、方向幕は主幕、そして系統幕のほか、側面方向幕まで
奇跡的に残されていることが分かりました。
しかし状態は思いのほか悪く、主幕は現示していた「回送」部分の劣化が特に酷かったほか、
系統幕は取り外し作業中にバラバラに崩壊してしまいました。
 
こうしたことから、同時に取り外した側面方向幕は外見的に良好でしたが、未だに怖くて開くことが
出来ません。
「保存」しているのやら「破壊」しているのやら・・・。
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結局、幕自体は持ち帰ってみたものの、再使用に耐えうるものか否かは微妙なところです。
特に系統幕は高度な技術を用いた修復が必要ですし、主幕も一部が壊れています
さらにう1043号車は解体されてしまい、保存方法を再考しなければならないため、当面は
一部を鑑賞用とし、こちらをご覧の皆様に主幕の全コマの写真を公開したいと思います。
 
主幕は全部で38コマあり、昭和61年(1986年)に廃止された朝倉線が記載されています
が、昭和60年に開始された「競技場循環」線があることから、昭和60年より使用開始
されたものである推測されます。
つまり入手の時点で約20年以上が経過していた訳で、こうした薄いフィルムの製品として
劣化はやむを得ないところです。
 
注目すべきは「平川経由小郡駅」の表示で、これはこの当時から路線開設を計画していた
(或いは実際に運行していた)ことの査証になると思います。
 
「湯田・西光寺経由 上東」は元町・泉町経由の便でしょう。
「自動車試験場経由 仁保」も懐かしいですね。
「日赤・市役所・県庁前」は実際には見たことがありません。
系統番号も幾つか記載されていますが、殆ど市民には浸透しなかった模様です。
 
一方の系統幕は、現物の写真が撮れないほど劣化が激しいので、代わりに幕板部に
貼られたコマのメモ用紙の写真を掲載します。
 
これらは将来の然るべき時期に、然るべき方法を以て、保存したいと考えております。
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機体の製造元は三陽電機製(現・レシップ)です。
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●おまけ(参考)●
当時の「A.G.S」のコマ表です。
私はてっきり方向幕のことかと思っていましたが、
どうやらこれは車内放送のテープの内容だった
ようです(クラリオン:「オートガイドシステム」)。
鰐石橋経由があるので、昭和55年以降の
ものと思われます。
 
※情報を寄せていただきまして、
 ありがとうございました。
 
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車体関係の最後は、山口市営の車において、秘かな共通装備品であった「お札」です。
これもあまり他社の車では見かけたことがなく、山口市営独特の風習だったのかも知れません。
(いまでは一般の防長交通の所属車でも見かけることが出来ます)
 
その「お札」とは、福岡県にある「宮地嶽神社」の「交通安全御守」とのことで、効果を維持
するために、毎年貼り替えているといわれます。
 
即ち、その購入にあたっては、代表者が正月に福岡まで出張し、全台数分を入手してくる
とのこと(!)。
安全運行への切なる願いですね。
 
写真は、左がう1060号車(廃車後18年)、中がう869号車(廃車後14年)、右が
う2892号車(現役時)様子です。
長い年月が経過すると、お札は茶色に変色することが判りますね。
 
  
「車両仕様編」は以上ですが、これら以外にも例えば「電照広告箱」や、「路線図掲示板」
「温湿度計」など市営独特の装備がありますので、また別の機会のご紹介致しましょう。
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12:その他
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山口市営では、全路線でワンマン運行を実施するにあたり、原則として昭和50年以降に
導入された路線車全てと、秋穂線に集中投入された日野製のワンマン対応車7台に、
この後方確認装置が装備されていました。
ただし、何故かモノコック車体の大型路線車のうち、冷房付のもの、及びモノコック車体の
貸切車には初めから装備されていなかったようです(貸切車には後に改造で取り付け)。
 
製品は、昭和50年から昭和60年までがクラリオン製の「UA-130A」型などで、平成2年
以降は、比較的小型のナショナル製「TW-63N」型が採用されました。
防長交通社に編入後は、老朽化で撤去されたり、更新されているものも出現しています。
 
左の写真はう867号車で、クラリオン製(吊り下げ式)。
スケルトン車体の時代に入ると据え置き型も登場しますが、ナショナル製になっても、画面は
最後まで一貫してモノクロ表示だったようです。
 
一方のカメラは、耐候性を高めたのか非常に大袈裟な形状をしており、当時のバスにおける
後部の重大なアクセントになっていました。
 
余談ながら、当時の私は、特にこの装備に憧れていました。
自動車内の映像装置が極めて珍しかった当時、こうした「飛び道具」とは、個人レベルでは
叶えられない、超進歩的な装備に見えたものです。
「将来は自分の車に必ず付ける!」と真剣に考えて居ましたが、あれから約30年が経ち、
今ではすっかり乗用車の標準的な装備になっていますね。
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11:「バックアイ」
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左は全国的に初期のワンマンカーに普及したといわれる大光産業製か、その類似品の
もので、ボタンを押した時の音は大半が「チン!」というベルタイプでした。
しかし一部の車は「チー」という電子音だったり、この音が劣化したのか、「ガー」という妙な音を
出すものまであり、各車の個性となっていました(写真はう1043号車のもの)。
 
右は昭和57年以降の導入車に用意された三陽電機製と思われるもので、昭和62年に
路線化改造を受けたう363号車のものです。
 
このタイプのボタンは「ピンポーン」という電子音が標準でしたが、う363号、364号車だけ
従来車と同じく「チン!」というベルを叩くタイプの音でしたので、音響系が廃車発生品
を流用したものだったと思われます。
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:停車ボタン
9:乗降ステップ
何気ない乗降ステップにも、実は山口市営には強い拘りがあり、昭和40年代以降の新製車は
ほぼ全てステンレスで製作されているという特徴があります。
 
これはい358号車の中扉改造失敗を教訓とした措置と思われ、乗客の安全と、保守の合理化
の双方を狙ったものだと考えられます。
 
この写真は、同じ三菱製のMK6型車の前扉のもので、左が旧山口市営:う1990号車
右は同業他社の同型車のものです。
 
ともに車齢20年以上を経過した時点の写真ですが、う1990号車のステップは、無塗装
ながらもステンレスの強みを発揮して、腐食が全くみられないことが判ります。
(※現在は両車とも廃車解体済)
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10:エアーサスペンション(エアサス)
山口市営では、昭和34年に初めてエアサスの車両が導入されて以降、原則としてエアサス車は
貸切運用に、バネサス車は路線運用に、という形で棲み分けが図られてきたようです。
 
ところが昭和60年の貸切兼用車にエアサスが採用されたのに続き、平成2年の導入車からは
一般路線車でもエアサス車が採用され、最後まで新製車は全てエアサス仕様となりました。
 
これは乗客の乗り心地改善を目的とすることはもちろん、長時間の運転を強いられる運転手
労働環境改善も意図したものであったといわれています。
 
結果的に末期の交通局に導入された車両は、他社の同格の路線車に比べて乗り心地が大きく
優れることとなり、何も知らなかった当時の私は、他県で現地のバスに乗った際、「なんと乗り心地
の悪いバスだ」思ってしまったほどです。
 
写真はう3055号車のもので、デザイン上の目的で特注したという、山口市営独自の白いフェンダー
リブの様子もみてとれます(純正仕様では黒色の樹脂製品)。
7:時計
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昭和30年代頃より、貸切バスの車内前方に時計が設置されているのはよくある
光景ですが、山口市営では平成2年導入車以降は、新製路線車の全車に
デジタル時計が装備されるようになりました(左写真。全車ジェコー製)。
 
後者の場合は、車室内に向けて前扉上に装着されたものに加え、小型のものが
運転席にも装備されました(右写真)。
これは、運転現場から「腕時計の装着が煩わしい」旨の申し立てがあったためとされ、
重たいロッドシフトを一日中操作するという、労働負担の軽減を考慮したものと
いわれています。
あまり他社の車では見かけない装備品の一つですね
 
なお、近年は運転席の時計は殆どの車で非点灯となっており、また、平成25年
以降は、車室内の時計もカバーで隠されるなど、使用停止の措置がとられています。
写真は平成22年頃のう2894号車と、う2892号車のものです。