ymb017008.gif
hchome_bj.gif
hcprev_bj.gif
ymb017007.gif
ymb017006.jpg
   ■山口22う3114号
 (※田万川中学スクールバス時代)
山口22う3055号型
 
■導入:平成6年(1994年)、新製
■型式:三菱U-MK618J
■車体:MBM
■形状:リヤエンジン、前折・中折扉
■冷房:三菱(直結)
■用途:路線
■構成:3055(H6.7〜H30.3)写真1
    3056(H6.7〜R1.10)写真1
    3057(H6.7〜H30.5)写真1
    (計3台)
 
 平成6年度も複数台の購入が行われ、冷房を装備しない旧年式車を淘汰していきます。
 本型からのMKは、モデルチェンジされた618型(210馬力)となり、前型より一気に約
30馬力近く出力が向上されているため、下記3106号型と併せ、こちらに乗務したがる
運転手が多かったといわれています。
 
 外観では、フェンダーのリブが純正では黒色の樹脂製になるところ、従来の車とイメージ
を揃えるため、あえて特注で金属素材に変更のうえ白く塗装。
 また、旧型車と使用方法を揃えるため、助手席側には通風口が設置され、ドアの開閉
スイッチを備える(純正では前灯の横)ほか、ウィンドウォッシャーノズルも左右2か所
仕様となっています。
 
 ただ、客窓最後端脇の雨樋形状は、本来は窓に沿わせる形を期待していたものの、製作
指示が伝わっておらず、メーカーの判断で車体後端まで延びてしまっているようです。
 
 なお、3056は、U-MK618J型の生産第100号車となります。
 
 平成9年1月、その3056は信号無視の自動車と接触し、フロントマスクを交換修理。
 
 平成11年3月、3055は山口市営バスとしての最終上り路線便を担当(車庫発、
西京橋・美術館経由、県庁前行)。
 
 防長交通に編入後は、平成16年(2004年)に3055が萩に、3056が秋芳営業所
に転属し、3055は僅か数か月で戻りましたが、3056はさらに新山口営業所まで
配置替えとなって、路線機器類をすべて防長社仕様に換装。
  
 これは、旧市営の全車を防長社の標準仕様へ変更するための先行試験的な措置であった
ようですが、あまりにも旧市営と防長社とでは仕様が異なっており、改造が多岐に及ぶ
ことから、他の車の改造は中止されたといわれています。
 
 平成30年(2018年)3月、3055は主機の亀裂により廃車され、直ちに解体処分。
 車検期限まで2か月を残した突然の最期でした。
 
 同年5月には、3057が車検期限満了に伴い運用離脱。11月に解体処分。
 
 本型車で最後まで残った3056は、防長社仕様の機器を活かして山口、防府、秋芳、
阿知須方面と広範囲で運用されていましたが、老朽化から末期はほぼ休車状態となり、
2019年10月に新山口営業所に導入された旧山口市営色を復刻した新型車両(下記)
に事後を託して姿を消しました。
 
 
■山口22う3055号(ご提供写真)
山口22う3106号型
 
■導入:平成7年(1995年)、新製
■型式:三菱U-MK618J
■車体:MBM
■形状:リヤエンジン、前折・中折扉
■冷房:三菱(直結)
■用途:路線
■構成:3106(H7.4〜H29.10)写真1
    3107(H7.4〜R1.7)写真1
    3108(H7.4〜H29.11)写真1
    3109(H7.4〜R1.10)写真1
    3112(H7.5〜H30.3)写真1
    3113(H7.5〜H28.10)写真1
    3114(H7.5〜R2.3)写真1
    (計7台)
 
 昭和52年(1977年)頃に導入された旧年式車を一気に淘汰するため、市営解散まで
残り4年というタイミングで、新車7台が導入されています。
 強化される排出ガス規制を目前に控え、車両価格が引き上げられるのを回避するため
大量購入に踏み切ったという経営判断には賛否両論あると思われますが、交通局の移転直後
に導入されていることから、新庁舎と新車で心機一転を図っているようにも見えました。
 
 仕様としては、外観は上記う3055号型と同様ですが、雨樋は今度こそ指定の形状となり、
車内では柱・天井の塗装は従来のクリーム色から白色に、床は大理石調から灰色に、座席
モケットは緑色から青色に変えられ、最新装備として音声合成装置を導入、運転席の装置
配置が整理されるなど大きな差異がみられます。
 
 さらに平成9年(1997年)には前後扉の下端に可動式の補助ステップが改造によって
装着され、高齢者への配慮が行われました(泰平製。工事は西工小倉で1台づつ交替で
実施。1台の施工費約60万円。後年、前扉部のステップは逆に危険と判断され全車撤去)。
 
 平成11年3月、3114が「山口市営バス」として最後の路線便を担当(車庫到着)。
 
 防長交通に編入された後は、その3114が「特定」(スクールバス)や「貸切」に用途
変更され、路線装備を撤去のうえ山口市外へ転出した以外は、何れも最近まで比較的高い
頻度で目撃することが出来ました。
 
 しかし、平成28年(2016年)10月には3113が変速機の故障により廃車、
翌年6月に解体。
 平成29年(2017年)10月と11月には3106と3108が状態不良により廃車、
12月に解体。
 平成30年(2018年)3月には、3112が電装不良により廃車され直ちに解体。
 令和元年(2019年)7月末には3107が状態不良で廃車、10月には路線規模の縮小
のため、満身創痍の状態ながら最後の第一線で活躍を続けた3109も解体処分。
 
 本型で唯一残った3114は、平成23年(2011年)に萩市の田万川中学校で送迎バス
として転出した後、平成27年(2015年)春には周南営業所へ転属し、補助ステップを撤去、
音声合成装置を再搭載、GPSとタコグラフを設置して競輪輸送や波動輸送に従事。
 平成30年(2018年)からは平生営業所に移籍し、車外録画装置が設置されたものの
特に運用や用途も持たず実質的に休車状態に置かれ、そのまま令和2年(2020年)3月末に
除籍されました。
 それは「最後の赤バス」による、「赤バス」67年間の静かな終焉でした。
山口22う3201号型
 
■導入:平成8年(1996年)、中古(昭和60年式、元・神奈川中央交通)
■型式:三菱P-MP218M
■車体:呉羽
■形状:リヤエンジン、前折・中引扉
■冷房:三菱(直結)
■用途:路線
■構成:3201(H8.8〜H19)写真1
    3202(H8.8〜H18)写真1
    3203(H8.8〜H15)写真1
    (計3台)
 
 山口市営56年の歴史を語る最後の形式は、元・神奈川中央交通の中古車3台と
なりました。
 この頃は大内線が小学生の通学に輸送力を必要としていたため、う1029号型などの
大型車が残されていましたが、これらも車齢が約20年を迎えるようになり、さすがに
安全性の面で大きな問題を抱えるようになっていました。
 
 そこで当然に代替車両を購入する方針までは決めたものの、路線の将来性を勘案すると、
新車ではなく中古車を選択することにしたようです。
 
 もっとも、当時は中型の新車1台の費用で大型の中古は改装費を含めて3台が買える
という試算があり、また、「神奈中の中古は程度が良い」という噂から、実車を見ずに購入
された、ともいわれています(1台約80万円だった模様)。
 ところが購入後に実車を見に行った際は、その状態の悪さに現場は愕然としたようです。
 
 結局3台とも車体は修繕されましたが、機関(225馬力)は予算と時間の制約のため2台
しか整備が出来ず、実施されなかった3203は、不調のため早期に廃車となりました。
 
 山口市営仕様への改装は、神奈中の車に特徴的な扉周辺の小窓が埋められ、座席は
全て新品を装備(着席定員倍増)、神奈川時代に使用実績の低かった中扉は不調のため装置
取り換え、床材も張り替えられる(木床→ゴム被覆)など、かなり大がかりなものとなって
おり、見た目は新車同様の状態まで回復していたようです。
 
 さらに前後乗降扉の下端には、当時の幹部の意見を容れて初めて可動式の「補助ステップ」
(泰平製、空気式)が取り付けられ、後に上記う3106号型全車にも改造で取り付けられ
ました(予算の関係で以降の装着車は無し)。
 
 防長交通に編入後は、山口営業所で数少ない大型車として活躍。
 しかし大内線の客層の変化や機関の老朽化に伴って、平成15年(2003年)頃には
3203が廃車され、平成19年(2007年)頃までには残り2車も姿を消しました。
■山口22う3201号(ご提供写真)
2013/5/5      2021/1/10 
ymb017005.jpg
ymb017004.jpg
ymb017003.jpg
車両編は以上です。
50年以上に亘り、激動の時代を反映するバス車両の変遷をご覧いただきました。
 
山口市交通局の解散から既に20年。
新会社の元で活躍を続けた「赤バス」たちも全てが姿を消し、今では復刻塗装車を除くと私たちの記憶の彼方で
走り続けるのみです。
戦前の車を含め、総数約300台の様々な記憶。
可能な限りその一台一台の確かな履歴や事績をここに記し、墓標として捧げたいと思います。
 
     ※当サイトに掲載します写真については、特に記載の無いもの以外は、全て管理人が撮影したものです。
      転載等はご遠慮ください。
 
ymb017002.gif
山口200か1233号(防長交通株式会社)
 
■導入:令和元年(2019年)、新製
■型式:日野2KG-KR290J4
■車体:J-BUS
■形状:リヤエンジン、前折・中引扉
■冷房:デンソー(直結)
■用途:路線
■構成:1233(R1.10〜)写真1
    (計1台)
 
 山口市交通局が閉局してから20年を迎えてもなお、旧市営の路線車は3台が現存して
おり、ほぼ毎日の運用に供されていましたが、車齢が約24〜26年を迎えて老朽化が
著しく、利便性や安全面、保守の都合を考慮すると、早期の置き換えは必然の様相となって
いました。
 
 そこで防長交通社では、この時期に導入する5台の新製車のうち1台を山口営業所
小郡駐在(防長観光バス 新山口営業所)の配置とし、旧市営車3台を更新するとともに、
当該車を閉局20周年を記念して、「旧山口市営色」で塗装することとされました
 こうして21世紀の現代に、最新の仕様を伴って「赤バス」は蘇ることになったのです。
 
 車両としては、同年7月に発売が開始されたばかりの「J4」型であり、運転手の異常時
緊急ブレーキシステム(EDSS)を装備。
 灯火、路線機器類も最新の設備を搭載するため、旧市営車とは隔世の感があります。
 
 外観塗装は、昭和50年から平成2年(※)までの新製車に採用されたものを踏襲して
おり、低床車体への応用を、大きな違和感なく収めています。
 また、正面の市章はシール式ながら、市当局との折衝や、上端の突起形状への配慮が
なされたようです。
 
 運用範囲は県庁〜新山口駅〜秋穂・阿知須・秋芳間のほか、防府方面を担当。
 小郡駐在の車のため、担当範囲として平川や宮野、仁保方面への充当は、現段階では
実現する可能性は低いようです。
 
 とは言え、旧市営バス約70年の歴史、約300人の職員、約300台の車両の確固たる
存在と記憶は、この1台に集約され、次世代に継承されていくことになりました。
 公共交通の使命、郷土の歴史、関係者の尽力に思いを馳せながら、利用しつつ、見守って
参りたいと思います。
 
 
 ※防長交通社ではプレスリリースに際して「昭和40年代」の塗装と表現されていますが、
  「青帯」が無いことから「昭和40年代」に導入された車のものではなく、側面に市章
  が無いことから「昭和30年代」までに導入され運用されていた車のものでもなく、
  小郡地区や改元と絡めて、「新幹線の開業した昭和50年から、平成初頭頃」の塗装、
  と表現した方がより適切だったかと思われます。
  
■山口200か1233号
  (撮影許諾済)
★番外編
ymb017001.jpg