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山22う2303号型
 
■導入:昭和62年(1987年)、新製
■型式:三菱P-MS725N
■車体:三菱
■形状:リヤエンジン、前スイング扉
■冷房:三菱(サブエンジン)
■用途:貸切
■構成:2303(S62.6〜H11.3→城南観光に移籍〜H23)
    2304(S62.6〜H11.3→城南観光に移籍〜H22)写真1
    (計2台)
 
前回のう1930号型への反省として、今回は相当に豪華な仕様を持つ貸切車が
当初から企画され、満を持して導入されたのが本車型です。
 貸切事業の挽回を期待してか、専用のパンフレット()まで作成されています。
 
 ハイデッカー構造はもちろん、一枚の大型フロントガラス、スイングドア、カラー
テレビ、逆T字窓、特注モケット、全格納型補助席、カラオケ装置、冷蔵庫など、近年
の閉塞した山口市営には無かった、思い切った充実装備を誇りました。
 実際、同じエンジンを搭載する「う1930号型」より約1,000万円も高い車に
仕上がっているようです。
 
 車体表記は、正面の行燈が従来の「山口市営」から「山口市観光」に、側面も
「山口市営」から「YAMAGUCHISHI BUS」と、それぞれ変更されました。
 
 ただし狭隘道路を進行することもある「文化バス」事業への充当を想定して標準尺
選択したため、小〜高等学校が貸切の依頼主になる場合には定員が合わず、多くの
場合、車庫で過ごしていることが多かったようです。
 
 山口市営解散時には、高年式にも拘らず2台とも岡山県の業者に売却。
 広島県の城南観光が購入し、貸切用途で平成23〜24年頃まで使用されています。
 2303は、実に車齢26年という長寿を全うしました。
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■山口22う2606号(ご提供写真)
山口22う2606号
 
■導入:平成元年(1989年)、新製
■型式:三菱P-MS725S
■車体:三菱
■形状:リヤエンジン、前スイング扉
■冷房:三菱(サブエンジン)
■用途:貸切
■構成:2606(H1.6〜H23.2)写真1
    (計1台)
 
 上記2303型の運用不都合を解消するため、今度は長尺の同仕様車が導入され
ました。
 ただし法規制の改定を反映してか側窓はT字型となり、新式のチューブレスタイヤ
採用するなど細部は変更されているようです。
 
 導入後の本車はその収容力と高級装備を生かし、当時の貸切車の中では比較的
高い稼働率を維持しながら、市内定期観光等でも活躍していたと思います。
 
 山口市営解散後は、平成16年頃までは従前どおりに使用されましたが、翌年
には高速路線バスに改造され、平生営業所に転属。
 広島バスセンターに乗り入れる本車は話題にもなりましたが、次第に近鉄から移籍
してきた車に押される形で、平成20年7月頃には運用から離脱します。
 
 8月以降は萩営業所に予備車として在籍し、僚車が修理に入る際などで陰陽連絡の
路線便を担うこともありましたが、冷房が故障したため、冬季を中心とした運用を
余儀なくされました。
 
 結局そのまま冷房は修理されることなく、平成23年2月に廃車され、解体のため
福岡県に向かっています。
 
 う2303号型とは、車体長の違いから市営解散後の運命を分けましたが、何れも
最終的には十分な活躍ぶりを見せてくれました。
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■山22う2304号(ご提供写真)
山22う1990号型
 
■導入:昭和60年(1985年)、新製
■型式:三菱P-MK516J
■車体:呉羽
■形状:リヤエンジン、前折扉
■冷房:三菱(直結)
■用途:路線
■構成:1990(S60.2〜H20.7)写真1
    1991(S60.2〜H18)写真1
    (計2台)
 
 昭和59年度(1984年)の補助金活用車は、宇部空港線への乗り入れを考慮した
特別仕様車となりました。
 前折扉やリクライニングシート(二段階)、エアサス、専用塗装を採用しており、
既出のう1706号補完する目的があったと思われます。
 
 ただし、利用者減を反映してか今度は中型車が選択されており、また、肝心の
空港自体も本型導入の翌年には廃止されてしまいましたので、結果的には用途を
選ぶ車となってしまいました。
 なお、本型の導入により「青帯」の「ワンマン対応車」は全て姿を消しています。
 
 当初は車体の側面と後面に金色の「山口市営」の切り抜き文字が装着されており
高い車格を表していましたが、空港線の廃止後は2台ともそれを撤去のうえ、側面に
広告塗装が施され、大きくイメージを変えました(左写真)。
 それでもこの状態で「市内定期観光」を務める姿を見かけたことがあります。
 
 平成7年(1995年)に交通局が移転した後は、車体塗装を新様式に変更。
 このとき1991は車体の広告が解除されましたが、1990はラッピング方式で
車体広告が継続されました。
 
 平成11年の山口市営解散後は防長交通に継承され、1991は後に同社の防府
営業所転属して「防府競輪」の無料シャトル輸送に従事、平成18年(2006年)
に廃車されました。
 
 1990は平成16年頃(2004年)に山口市内の養護学校のスクールバスとなり、
路線装備と座席一部を撤去し、ライトベゼルも黒く塗装。
 そして平成18年頃には、防府営業所と山口営業所の間で異動を繰り返し、平成
19年秋には防府営業所へ最後の移籍をします。
 座席を復元後、同年から翌年の春にかけて「防府競輪」や防府市内のショッピング
モールの無料シャトルバスを務めた後、7月に廃車され、解体のため福岡県の業者へ
向かいました。
■山22う1991号(ご提供写真)
山口22う2675号型
 
■導入:平成2年(1990年)、新製
■型式:三菱P-MK517J
■車体:新呉羽
■形状:リヤエンジン、前折・中折扉
■冷房:三菱(直結)
■用途:路線
■構成:2675(H2.3〜H20.3)写真1
    2714(H2.7〜H21.3)写真1
    (計2台)
 
この2台は間隔を空けて導入され、仕様も僅かに異なりますが、同目的の同型車
あるため、便宜上、「う2675号型」として一括しておきます。
 
 路線車として5年ぶりに導入された本型は、スケルトン第二世代のMK517(185馬力)
となり、これまでの標準仕様を変え、大きくサービス向上を果たすことになりました。 
 
 本型から採用されたものとしては、経由幕を廃した正面大型方向幕、経路図付の大型
側面方向幕(2714のみ)、後部方向幕、デジタル運賃表示機、デジタル車内時計、
運転席時計、新型バックアイセット、黒色窓サッシ、などがあります。
 
 2675と2714の違いは、正面方向幕の様式と側面方向幕の大きさ、そして車体の
側面広告の有無(2675は新製時より全面広告を施工)です。
 
 正面方向幕は、2675が「経由地」を「目的地」の文字の上に記載するものだった
のに対し、2714は並列して記載されていました。
 この2675の様式は見えにくかったのか、後に導入された車は全て2714の方法を
踏襲しており、2675も後に幕を交換しています。
 側面方向幕は、2675のみ従来の小型式を採用しましたが、これは「大型を採用する」
という製作指示が漏れていたようです。
 
 2台とも防長交通に編入後は、平成15年頃(2003年)に車体塗装を変更。
 しかし全面的な塗り替えとはならず、車体裾部と黄色の腰帯、ホイール等を白色に変更
しただけで、疑似的な「新塗装仕様」となりました。
 
 この状態のまま、もともと板バネが折れるなど足回りの耐久性が低かったとされる
2675は、平成20年春(2008年)に廃車され、平生町の解体業者により解体。
 (※社会問題ともなった、三菱車の部品強度不足との関連が疑われます)
 
 2714はその一年後に廃車され、解体のため福岡県に向かっています。
 なお、同車はMK517J型の「P代」における国内の最終製作車でした。
■山口22う2714号(ご提供写真)
■山口22う2894号(管理人撮影)
■山口22う3010号(ご提供写真)
山口22う2892号型
 
■導入:平成4年(1992年)、新製
■型式:三菱U-MK517J
■車体:新呉羽
■形状:リヤエンジン、前折・中折扉
■冷房:三菱(直結)
■用途:路線
■構成:2892(H4.7〜H25.5)写真1
    2893(H4.7〜H18)写真1
    2894(H4.7〜H27.10)写真1
    2895(H4.7〜H27.12)写真1
    3000(H5.7〜R1.10)写真1
    (計5台)
 
 3000は間隔を空けて導入され、仕様も僅かに異なりますが、同目的の同型車
であるため、便宜上「う2892号型」として一括しておきます。
 
 前年にも山口市営では同型車(1台)が導入される計画があったようですが、国の
補助金削減の方針もあって、結局発注は中止されたようです。
 そこで平成4年度は久しぶりにまとまった台数が発注され、非冷房・旧型車の
置き換えを促進しました。
 
 本型の仕様は上記う2675号型とほぼ同様に製作されましたが、排ガス記号が
「U」なり、床材の模様、運転席時計の形状、冷房の熱交換機が車体前方に移設
されているなどの差異があります。
 さらに3000は、広告枠が非装着で納車されたほか、冷房の型式が変更され、
「MMC」のエンブレムが前扉後ろに装着されています。
 
 ただし、最大の変更点は、外観に新しい配色を採用したことに尽きるでしょう
 これは「赤字」(赤地)を減らして「黒字」(黒地)を増やすという意志のもとに
考案されたといわれ、現代的で軽快な印象に仕上げられた見事な配色でした。
 あまりに斬新であり、また、伝統の配色を変更することには内外にも躊躇いがあった
ようですが、結果的には現代でも十分に通用するモダンな配色となりました。
 後年には、旧式車でもこの配色に変更される車まで登場しています。
 
 本型は市営時代には中心的な存在として活躍を続けていましたが、高出力の新車
導入や、防長交通編入後はノンステップ車が活躍の主流となり、予備車の扱いで
見かける機会が少なくなっていきました。
 
 平成18年(2006年)には、2893が事故でフロントを全損し廃車。
 平成24年(2012年)3月には2892が防府営業所に転属し、路線装備を解除
のうえ、防府競輪の料シャトルバス(愛称「りんりん」)の専従仕様に改装され
ました。
 そしてこの状態のまま、平成25年(2013年)5月に廃車、解体されています。
 
 平成27年(2015年)10月には2894が、同年12月には2895も廃車。
 
 令和元年(2019年)10月、最後まで残った3000が車齢26年という記録を
残して遂に廃車され、廃形式となりました。
 なお同車は、山口県内最後の路線MK517型であり、また、新呉羽解散の僅か11日前
に納車されたという、同社で最末期の製品だったようです。
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山口22う3010号
 
■導入:平成5年(1993年)、新製
■型式:日野U-RU2FTA
■車体:日野
■形状:リヤエンジン、前スイング扉
■冷房:デンソー(サブエンジン)
■用途:貸切
■構成:3010(H5.9〜R2.8)、後に「山口200か646」へ登録替、写真1
    (計1台)
 
 車齢19年11か月という、モノコックの貸切車としては驚異的に長寿だった
う362号置き換えるため導入された、山口市営最後の貸切車です。
 財政難のこの時期に、あえて新車で高級な貸切車を導入したこと自体には疑問も
残りますが、当時は路線営業より貸切事業の方が収益率が高く、看板となる車の
保持には、それ自体に強い経営上の要請があったといわれています。
 
 当初は三菱車を想定し、西工車体も視野に入っていたようですが、入札の結果、
車台は日野が、そして車体は日野純正に落ち着いたようです
 
 外観はセレガとしては標準的なもので、特徴的と言えるものはありません。
 ただ、車体の配色は上記う2892号型の登場と併せて前頭部の赤色を省略する
など、新様式風に改められていました
  
 車内の仕様は上記う2303号型、う2606号と揃えられており、これらと梯団
運行することが前提とされています。
 全長、全高、重量、出力、その全てにおいて山口市営の歴史上、最大・最強(340馬力)
となった本車ですが、実際の運用では定員と重量の関係から2Fエンジンでは出力が
不足すると評されていたようで、主力は依然として三菱車が務めていたようです。
 
 山口市営解散後は、平成16年(2004年)に小郡(新山口)営業所に転属し、この
ときに外装を防長交通の貸切色に変更、内装も張り替えるなど様子が一変しました。
 
 さらに翌年の夏には広島営業所へ転属となり、ナンバーも「広島200か780」へ登録
替えとなりますが、平成20年(2008年)春には再び山口営業所へ戻り、今度は
「山口200か646」登録されました。
 
 その後は最後まで山口営業所に留まり、近年は貸切、競輪輸送から「特定」用途に
種別変更を受け、支援学校の送迎車を担当。
 防長社の新しい世代の車に囲まれ、その流転の姿を見ることが出来ました。
 
 そして令和2年8月、車齢27年の長寿を惜しまれつつ山口市交通局と赤バスたち
全ての顛末を見届けた本車は、遂に使命を終え、最期を迎えました
 
2013/5/5      2021/1/1
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