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99年の山口市営解散や、幼稚園の677号、上郷の863・864号の撤去をもって、一時は全て姿を消したと
思われていた旧・山口市営のモノコック車。
 
スケルトン車でも廃車が相次ぐ現在、二度とその赤く丸いボディを拝むことは出来ないものと考えておりました。
 
ところが2007年3月。
当ページの掲示板上にて、奇跡とも言える廃車発見の情報が寄せられました。
 
ここではこの廃車体の第一発見者である猫好き様の作成されたページと情報を元に、写真や配置等を私が再構成して
掲載をしています。
※注釈とサイト名の表記以外は、ほぼ原文・原典写真のままとします(写真はクリックで拡大)。
 
●更新情報:2009/3/25 情報・写真追加
山口市営バス廃車体報告
皆様こんにちは。
局長氏の「山口市営バスの記憶」で掲示板にいさせていただいております猫好きと申します。
 
さて、先日(ずっと前ですが)掲示板の方で山口市営バスの廃車体を発見したとお伝えいたしました。
そこで今回、このようにして皆様にご報告いたしますので、ご覧ください。
 
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このクルマは三菱ふそう製です。
市のマークはなくなっています。
塗料のはげの程度が周りと違う事から、
ここへ持ってこられたあとに
外されたと私は思うのですがいかがでしょうか。
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フロントガラスの上端より上に「ワンマン白線」が
うっすら残っています。
そういえばこの時代のバスにはスピーカーみたいなやつが
付いていますね。
何に使うのかは知りませんが。
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側面非公式側をもう一度。
おそらくもう20年以上ここにいるはずなのですが、
それにしてはきれいですね。
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バス窓・中非常扉…
もう日本にはなくなった景色がここにはあります。
廃車体の場合はそもそもタイヤが外される事さえあるのですが、
この車両は空気すら抜けていないという好状態です。
市営の赤いホイールもちゃんとあります。
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一般の字がやけにきれいです。
ミラーも現存。
またまた側面。
徐々に草にむしばまれていきます。
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後方から。
写真を撮った場所は資材置き場の中です。
絶大な存在感を誇っています。
バス窓拡大。
実はバス窓の本物は初めてみました。
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はごろもや…
いつまであったのでしょう。
「山口市営」…
皮肉にも、この字ももうここでしか見る事が出来ません。
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エンジンです。
動くかな?
側面後部の穴。
中に何かの容器がおいてありました。
砂利の山から屋根。
見事に真っ赤ですね。
ベンチレータの数がちょっと少ないと思うのは
私だけでしょうか。
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ブルンブルンと走っていきそうな雰囲気です。
 
急ブレーキにご注意。
このシールは油谷町の港におかれていた
旧宇部市営車にも貼られていた気がします。 
 
【局長追記】
私もこのシールは記憶していますので、
90年代までは存続したのでしょうか。
 
マーカーランプ。
周囲の丸っこい造形が時代を物語ります。  
倉庫とバスの間。
倉庫が邪魔して公式側の写真は撮れませんでした。  
割れたガラスから車内を撮影。
いすはほとんど撤去され、看板なんかがおかれて
います。ロングシートが中央に映っています。
入口は引戸です。
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最後部の座席。紫色です。
いまは緑色ですね。
マリンランドも今はありません。 
 
【局長追記】
旧シートが紫色のビニールレザーだったという
事実は、私にとって衝撃でした。
この形のライトは3000号までの平成車にも
ついています。 
 
【局長追記】
センターコーンの形状が時代によって異なるようですが、
基本形状は確かに同じと思われます。
 
押しボタン。初めて見る形状です。
上の注意書きで「ワンマンの時は」とあるので、
ツーマンの時もあったようです。 
ボディにはうっすらと青色の線が。
なんの色なのでしょうか。
もの凄く興味があります。
 
【局長追記】
掲示板上においてMCS様からの情報によれば、
60年代末期からワンマン対応車種の導入が
進められた際、識別の為にこの青帯が塗装に
追加されたとのことです。
 
左記のとおり、ワンマン車ではなく「対応」車、
というところが時代を感じさせます。
←遠景。ひなたぼっこしているようです。
 これからも居てくれよ!
 
 なお、現地へ赴かれる際は、あくまで私有地ですので
 みだりに立ち入らないようお願いいたします。
  
【局長まとめ】
 
これは大変貴重な記録を拝見させていただきました。
絶滅したと思われていた旧山口市営のモノコック車が現存していたことも驚愕ですが、何よりこの個体は、セミワンマン時代の
痕跡を残しているという意味において、画期的だと思います。
 
MCS様の情報によれば、この個体は
「西日本車体の41MC いわゆるかまぼこ型ですが、山口市営のワンマンカー第2世代(昭和42−3年頃)の
山2 い 998〜1010ぐらいの車体」、
であるとの情報をいただきました(2007年7月の掲示板にて)。
 
また、廃車処分された時期は、同型車の動向から分析すると70年代中ごろと推定されることから、少なくともこの個体は
40年近くも廃車体として存在していることになります。
人の少ない山間部とはいえ、風雨風雪に耐え、このコンディションを保っているのは奇跡と言えるでしょう。
恐らく中に立ち入ることが出来れば、相当な大発見が期待されると思います(もちろん所有者の許可が必要)。
 
末永く、現存しておいて欲しいものです。
 
最後に、今回の情報を提供していただきました猫好き様、そして掲示板上にて詳しい情報を寄せていただきました
MCS様には心より感謝を申し上げます。
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★2009年3月、情報追加
上記報告から約2年後の2008年12月、とうとう車内の撮影が所有者様より許可されたため、
嬉々として撮影をして参りました。
外装は上記とさほど変化が無いため、今回は車内の様子を中心にお伝えします(クリックで拡大)。
 
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本車の内装は発見の連続で、登録番号まで分かってしまいました。
 
中扉はこの頃の標準仕様だった引戸式で、リア・タイヤハウスの直前には左右ともに市章が装着されます(右側は既に脱落)。
側面方向幕は正面方向幕と共に手動式となっており、車掌が居なければ大変な労働環境だと思われます。
車掌台は中扉直後に設けられてますが、窓は後の時代のように引き違い式にはなっておらず、他面と同じ「バス窓」でした。
残されていた車掌専用の機器類も興味深いですね。
座席はこの時代特有の臙脂色のビニール・レザータイプで、框も同素材を用いています(写真の座席は、二次利用時に前後逆向きで固定)。
 
掲示板上等では、MCS様に@中扉の後ろにあるサボ受けには案内板(前:「乗車は中扉から→」、後:「ワンマン入口」)が入っていたこと、
A方向幕の電動化は1975年導入の車からであったこと、B運賃表示は三角表だったこと、C運賃箱は文字通りの(手動投入・確認の)「箱」だったこと
D青帯の塗装パターン(リアはV字状)などを教えていただきました。
 
本車は私の利用していた頃の「カマボコ」から10年ほど前の世代の車になる訳ですが、あまりにも異なっており、同じ「カマボコ」だとはとても思えませんね。
改めて過渡期のワンマンバスと、生産期間の長かった「西工41MC」の奥深さに驚いてしまいました。
 
現在の状態は相当悪くはなっていますが、自然に土に還るまではどうか解体はしないで欲しいものです。
(※残念ながら2014年に解体されてしまいました)
2008/6/18    2017/1/29